みんぱくカザフスタン映画「トルパン」を見てきました。

どこの国でも、どこに住んでいる人でも求めていることは一緒だなと。
法律があったり、慣習があったり、宗教が違ったり、環境が違ったりと異なる点は多いです。多いというか、異なる点ばかりかも。
でも、皆考えていることは同じです。

 幸せを探している。

そして、その幸せは自分の中にある。そのようなことを感じました。


砂漠で遊牧民の姉家族に居候している主人公の青年アサは、早く一人前の羊飼いになって結婚することで自分も幸せになれると信じている。
でも、彼はまだ若くて経験が少なすぎる。
若者にありがちな思い込みや苛立ち、理想と現実のギャップに悩んで時々感情を爆発させる。
一家の家長はこれまた当然のことをしている。羊や山羊を放牧して一家を支えているのだからアサにも当然のことを言う。
アサは羊を逃がしちゃったのだから注意するのは当たり前だ。
その妻(アサの姉)は二人をつなぐのに懸命で、でも子供には優しく温かくそして強い。
3人の子供たちもそれぞれ個性的で素晴らしいし、登場する動物も素晴らしく撮れている。
特に一番幼い子供(おそらく3歳前後)の撮り方がいい。
登場人物それぞれが、当たり前のことをしている。大人から子供だけでなく、動物まで。
亀も次男の手から離れたら前に進んでいくのです。砂漠の中を。

構成も背景も音楽も全て計算されつくしていると思います。全てが自然に感じるので。
例えば、音楽の使い方。
ラジオから流れる音楽は都会への憧れを象徴している。
そして、長女がずっと歌っている歌。
ちょっと物悲しく聞こえる歌もあるし、嬉しい時に歌う嬉しい歌。
長女の歌う歌の内容は分からないが、十分気持ちが伝わってくる。
そして、自然の音。動物の鳴き声や砂や風の舞う音。
うまい。


今日の映画も素晴らしかったです。
俳優さんが上手でした。演じている感がないのです。とても自然な感じ。
ドキュメンタリーを見ているようでした。
こういう映画ならまた見たいです。
次回は、5/22(土)「シリアの花嫁」です。