よろこびの歌

よろこびの歌

最近大好きな宮下奈都さんの新作が出ました。
音大附属高校の受験に失敗した主人公の女子高生が歌を通して自分を取り戻していく話です。高校生でも皆何かしら挫折していて、悩んでいます。主人公の周りにいる5人のクラスメイトの視点から書かれていて読み応えがありました。

最後の20ページを読みながら泣けてきました。
小説を読みながら泣くなんて久しぶりです。
悲しかったり悲惨だから泣くのではないし、怖いから泣くのでもないのです。
じわじわと泣けてきました。
高校生のときこんなに真剣だっただろうか。
私に与えられた言葉です。

 今、はっきりとわかる。私が目指しているのは、音大に入ることではない。プロの歌手になることでもない。歌を歌うことでさえない、と思う。歌を歌うのは私のやり方でしかない。目指すのは何かといわれれば、うまく答えることはできないけれど、つまり、よく生きること、なのだと思う。(P201)